ジャー炊飯器RC-10ZWV

小笠原 菜摘

従来機種と比べて内釜の形状が変更され、デザインアプローチが大きく変わることになった炊飯器のハイエンドモデルです。近年のインテリアトレンドにマッチするよう、コンパクトでスリムな印象のデザインに仕上げています。

シンプルさを追求しつつ多様な見た目も実現

近年のインテリアトレンドであるミニマルな志向とマッチするよう、コンパクトでスリムに見せることがテーマでしたが、まず大きな制約をクリアしなくてはなりません。当社の炊飯器の特徴として「真空圧力」という機構があり、上蓋の中に真空状態を生み出すポンプが組み込まれています。真空にすることで、お米の芯まで吸水させ加熱効果をあげておいしいごはんを炊く仕組みです。

ただその分、上蓋の厚みそのものは減らせないのです。その前提条件の中で、とにかくスリムに見せるため、天面をフラットでシンプルなデザインとし、外形は限界まで削っていきました。

ただ、単にコンパクト化だけを追求したわけではなく、面の構成数を意識して増やしています。前から見た印象と横から見た印象が大きく違う、一見シンプルだけど簡素ではないデザインに仕上げています。

WORKS ジャー炊飯器 - インタビュー風景

素材や加工で品位感を高めた天面パネル

新モデルの最大の特徴が天面操作部分のタッチ液晶のカラー化で、ここがデザインの主役となります。スマホ感覚で操作できるタッチ液晶の印象を強めるため、天面パネルはスマートでフラットな印象に仕上げました。

また、樹脂成形ではなく、透明度が高く平滑感が出せる板材の切削加工としています。さらに、エッジ部分にカッティングを入れて厚みを感じられるよう工夫しています。カットの端面の処理については、角度や厚み、磨きの仕上げの処理をさまざまなパターンで検討して一番美しく見えるよう仕上げました。

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ディティールを追求する

本体部分は強度のある樹脂を採用していますが、キズに強い反面、外観にクセがあり艶が出てしまいます。インテリアに馴染むよう、より落ち着きのあるマット感を出すため、イメージに近い表面処理を探し求めてようやく納得できるものにたどり着きました。

一方、開閉ボタンは本体とは異なる材質・表面仕上げを採用しています。普段から指で触れる部分なので、抗菌樹脂素材でなおかつ汚れにくさやキズへの強さを考慮したシボ加工を選定し、お手入れ性にも配慮しています。

多素材で構成されているため、ワントーンに見せるよう色をチューニングしていくのも苦労するポイントです。材質が違えば、同じ色であっても特性があり、生産時に変わってきます。仕上げも各パーツの特徴に合わせて変えている中で、1つの製品として統一感が出るように試作を重ね調整しました。

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実践の中での気づきをデザインに反映させていく

炊飯器に限らずですが、デザインスタジオでデザイナー自身が調理して気づいたこと、一連の所作を体験してそこから得られた気づきをデザインに反映する作業を重視しています。

炊飯器で言えば、蓋の内側を拭く際、水滴が垂れたところもスムーズに指が届いて拭けるように細かい形状や角度を調整しています。蓋の内側は従来、デザインセンターではあまり関与できていなかったのですが、UXデザインの視点を重視して提案し、開発メンバーと一緒にいろいろな可能性を追求しています。

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