TECHNOLOGY
DEVELOPMENT
技術開発
炊飯器 開発者メッセージ
完璧な答えのない
“おいしさ”を
目指すから奥深い

毎日の快適な暮らしに直結する
おいしさを技術力で実現する

日本初自動式電気釜 第一号機「ER-4」。
日本初の自動式電気釜は1955年に発売されました※1。当時、電気釜は炊事を担うことが多かった主婦の睡眠時間を確保するための家電として普及していきました。それまでは、主婦は家族の誰よりも早起きし、かまどに火をおこしてごはんを炊く必要があり、今とは比べものにならない労力を要しました。
自動式電気釜の誕生以降、炊飯器はより便利かつおいしく炊けることが求められ、進化を続けてきました。お米の銘柄の違いだけでなく水道水の硬度の違いにも着目し、どんな条件でもお客様の手間なく“おいしい”というゴールにたどり着けるように開発してきました。しかし、おいしさにゴールはありません。使い勝手や省エネ性能も向上させながら、さらなるおいしさを追求していきます。
※1.株式会社東芝の前身である東京芝浦電気株式会社が完成・発表。
炊飯器開発のおもしろさや苦労

ごはんの弾力などを測定する「クリープメーター」。こうした測定器を活用し、おいしさを数値化している。

温度上昇試験により、内釜の内部の温度を測定する。

さらにおいしさと使い勝手の良さを追求し、開発を行う。

内釜内の圧力を調節するための構造をボール方式からバネ方式に変えたことは、これまでの炊飯器開発の中でも非常に大きな変化でした。金型で成型するパーツに少しでも誤差が生じると調圧は思い通りになりません。パーツ精度を高めると同時に、多少のばらつきがあっても安定した圧力調整が可能な構造を検討し、実機を組み立てたうえで実際に炊飯を行う実験を繰り返しました。何度吹きこぼれてしまったかわかりません。諦めずに開発を続けたことで、使い勝手の良さとおいしさを両立する画期的な炊飯器になったと、誇らしく感じています。

お米の銘柄による炊き上がりの違いは非常に大きいと感じます。ある銘柄でうまく炊ける炊き方も別の銘柄では吹きこぼれてしまったり、狙った炊き上がりにならないこともあります。全ての銘柄についていろいろな加熱条件を試し、地道にデータを取っていくしかありません。そこに、水道水の硬度の違いも組み合わされるため途方もない作業です。さらに一般社員にも協力してもらう実用試験も行っており、さまざまなお米の銘柄や全国各地の水で実際に炊いて食味のデータを集めています。ラボでの実験データも含めて、日々膨大なデータを収集しています。とても地道な作業ですが、お客様においしいと感じていただけるごはんの炊き上がりを実現できた時の達成感は醍醐味の一つです。

私たちは常においしさを追求しています。難しい課題をクリアし、以前よりもおいしいごはんが炊けたときには技術者としての大きな達成感が得られるとともに、お客様のベネフィットを確実に向上させたことでよろこびに満たされます。ごはんを炊くという限定的な機能を果たす炊飯器は、家電として究極的に進化しているようにも見えますが、技術的には「まだその手があったか」という気づきも多い特殊なジャンルです。おいしさには完璧な答えがないだけに、いくらでも進化させることが可能だと思っています。「去年の自分がライバル」と自らを鼓舞し、去年のベストよりもさらにおいしいごはんの実現に取り組んでいます。終わりがないからこそ努力のしがいもあるのです。
おいしいごはんを
食べたお客様を
想像できるよろこび

おいしいごはんを食べた時の幸福感は、何ものにも変え難いものです。毎日のように口にするごはんのおいしさを左右する炊飯器は、お客様のより良い暮らしへの貢献度が極めて高い家電です。お客様がよろこぶ姿を想像しながら技術を追求できることは、開発者冥利に尽きると言えます。去年よりも今年、昨日よりも今日、少しでもおいしさを向上させるために、チーム一丸となって取り組んでいきます。

